1はじめに
腰痛にはざまざまな種類があり、痛みの出かたや感じ方も人それぞれです。
腰痛を感じて、すぐ完治する人もいれば腰痛を初めて感じたことをきっかけに徐々に酷くなる場合や、時には10年以上腰痛を患っている方も多く見られます。
多くは病院でレントゲンでは異常が見つからない場合、湿布と痛み止めの薬だけで経過観察で終わってしまったりして湿布や薬でやりすごしている方も多く、そんなお悩みのご相談も多くあります。
慢性化した腰痛ほど、腰痛になってしまう原因やなかなか改善しない理由があります。
今回は慢性腰痛で悩む多くの方に少しでも楽な生活を取り戻すきっかけとなっていただけたらと思い私の経験と知識を書いていこうと思います。
2慢性腰痛の原因
・ 歩行不足
・ 1日に5時間以上座っている
・ 中学・高校時代の激しいスポーツ
・ 過去のケガ
・ 通勤時のバックがいつも重い
・ 家にいる時はソファーに座っている
・ 毎日のように湿布
・ 週5以上ハイヒールを履いている
・ 踵が削れた靴をずっと履いている
・ 腰が痛い時はマッサージでしのいでいる
腰痛の原因はこの他にもたくさんありますが、上記の項目について思い当たるところがあると思います。私の元へ相談に来られる患者様で長年腰痛を抱えている方ほどこれらの項目に思い当たることがあったりします。
腰痛の病態は筋肉の緊張や炎症、関節の可動制限や炎症、内科的疾患やヘルニアや狭窄症、すべり症など骨の変形などあります。
しかし、なぜそのような状態になってしまったのかという「本当の腰痛の原因」は日常生活や今まで頑張ってきたこと、人生の中でどんなことがあったのか、どう生きてきたかという過去の歴史や習慣にあることが多いです。そういった積み重ねが今の状態を作っています。
これを疾病形成因子と私は呼んでいます。
よく腰痛は体の歪みや骨盤の歪み、体の柔軟性の低下など言われますが、疾病形成因子をどれだけ減らしていけるかが慢性的な腰痛ほど大事なことと私は考えています。
歪みや柔軟性など体の中の問題を解決することはすごく大事ですし必要なことですが、これだけでは対処療法にしかならないのです。生活習慣や過去の歴史から原因を取り除くことが必要です。
それでは1つ1つ説明していきたいと思います。
2-1 歩行不足だと腰痛になりやすい
人間は歩くことで進化してきたため、二足歩行で歩くための骨格や体のつくりをしています。そのため歩く事で血液やリンパの循環を促したり、内臓の機能を維持したり歩くことが人体において必要不可欠なものとされています。
しかし、現代社会において乗り物の普及や生活の変化によって歩く機会が少なくなっています。だからこそ、意識して歩く事をしていかなければいけません。
1日に必要な歩行数1万歩と言われており、人口の3割の方は歩けているという統計があります。また、日本の疫学調査では腰痛の既往歴は70~80%と言われています。
これらのデータをみると1万歩歩けていない、7割の人と腰痛既往歴の7割の方は少なくとも関係性があると考えます。
(参考1:厚生労働省健康21 参考2:整形外科学会 腰痛ガイドライン)
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html
歩く事は腰痛を予防・改善するだけではなく健康で若々しいあの頃の体を取り戻すことができます。
是非、意識して歩いてみてください。
2-2 1日5時間以上座っている方は腰痛になりやすい
座っている事が長いと歩行不足ということにもなりますが、座っている姿勢に着目して考えていきたいと思います。
座っている姿勢は体にとっては非生理な状態で、立っている時にくらべ腰椎にかかる負担が約3倍負担がかかります。特にデスクワーク時の姿勢では少し前傾姿勢で手を前に出して作業しているため余計に負担がかかります。そのため座っていることが多いと、腰痛が治りにくくなってしまうので日頃からよく歩いたり、当院で指導している骨盤トレーニングや座り方の工夫をする必要があります。
特にデスクワーク中では腰に負担がかからないようにパソコンや椅子の高さを変えたり、こっそりとできる体操など時間をあけて行うようにします。
デスクワーク時の体操や対処法は以前に「デスクワーク時の腰痛」というブログを書いたのでこちらを参考にしてみてください。
2-3 中学・高校時代の激しいスポーツが腰痛と関係している
この時期に部活などの運動をしてはいけないというわけではなく、体の基礎がしっかりしていない状態で激しいスポーツを行うと怪我をしやすい状態になってしまうということです。成長期の時期は骨格や筋肉の構造や機能が著しく発達をする時期です。この時ほど基礎をしっかり作らなければいけないにも関わらず、体の基礎作りを疎かにしてしまうと体の基礎がないまま骨や筋肉が発達をとげることで将来的に腰痛だけではなく他の症状も出やすくなります。ここでいう体の基礎というのは骨盤であり、滑らかに動く骨盤をつくるということが体の基礎がしっかりしているということになります。
骨盤を建物で例えるといわば土台であり、この土台が弱いと土台のうえにある建物は倒れてしまうのです。この状態が腰痛になってしまうのです。
ではどのように土台である骨盤を強くしていくのかというと、これもやはり歩くということです。例えば子供の頃によく自転車に乗っていた、通学時に学校までの距離が短かった、どこにいくにも車に乗っていた、習い事が多く、体を使って遊ぶことが少なかった、など思い当たることがあれば今からでもよく歩く事を意識することが慢性腰痛を改善することに必要になります。
スポーツの場面でも一見、筋肉がすごくついている選手でも「よく怪我をする」「故障が多い」、細身の選手でも「パフォーマンスが落ちない」「キレがある」というのは骨盤がしっかりしているかどうかの差であり腰痛でない人と腰痛の既往がある方の差も一緒なのです。
2-4 過去のケガと腰痛の関わり
過去のケガも腰痛が慢性化しなかなか改善しないことと関係があります。
特に交通事故や尻もちをついたということはないでしょうか?
その時の痛みはその時期に治っていても、交通事故や尻もちなどの激しい衝撃が歪みのような形で体に記憶され数年後なにかのきっかけで腰痛やほかの症状として表に出てくることがあります。過去に交通事故や尻もち、大きなケガをしたことがある方は過去のケガと腰痛との関係を考え治療をすすめていくことが必要になります。
過去のケガと今の症状を考えずにマッサージをしたり、余計な刺激を加えると腰の痛みが強くなったり、一向に改善しないことが多いので注意が必要です。
腰痛で悩んでいる方で治療を始めるかたは専門家にきちんと過去にどのようなケガや病気があったなどきちんとお話しすることをお勧めします。
2-5 通勤時のバックがいつも重いと腰痛になりやすい
特に片手で持つバックやショルダーバックなどが腰への負担がかなり強いです。
当院に来られる腰痛患者さんの話をきくと10人中8人はバックが重いと自覚しており、しかもショルダーバックや片手持ちのバックを使用していました。
この腰痛患者さんの歩行を観察すると地面に足がついている時間が左右でかなり差があるのです。これは歩行時に片脚で支えている時間が短いと、支えている側の骨盤が反対の骨盤にくらべ動いている時間が短いということになります。
つまり、「骨盤が使えていない」ということになりこれが長くつづくといわゆる骨盤の関節が錆びているということになってしまうのです。
関節の錆び=うまく動かない=歩行時に正しく骨盤が動かない=腰痛になる、腰痛が治らないということです。
腰痛がなかなか改善しない方は左右の歩幅を気にしてみてください。
2-6 家にいる時はソファーに座っている
ソファーも腰には負担がかかってしまいます。お尻の沈み込みが激しいと上半身も後ろに倒れやすくなり、ふんぞり返っているような姿勢になります。
この姿勢が腰椎だけではなく胸椎や頸椎にも負担をかけ腰の可動性が失われるために腰痛やひどくなると坐骨神経痛へと発展してしまいます。
痛みがある時ほどソファーは避け、椅子や座布団の上であぐらなど骨盤が後ろに倒れないような姿勢をすることが大事です。
2-7 毎日のように湿布
湿布はスース―するような感覚はありますが、実は冷却効果はほとんどありません。
痛みがある時ほど患部に熱が溜まっているので、熱を取るという考え方は間違っていませんが、湿布は通気性が悪いため熱がとることができず溜まってしまいます。
ヤカンを湿布で冷やすことはできませんよね。
痛みがある時ほど患部の熱をとる必要があるため、毎日のように蓋をするように湿布をしていると余分な熱が逃げれないので、理想は氷と水を氷嚢やビニール袋などに入れて患部をしっかり冷やしてあげることが大事です。
2-8 週5以上ハイヒールを履いている
人間は歩く時に足首、膝、股関節と一緒に動かして歩行をします。
ここまでこのブログを読んでくれている方は歩行がなんとなく大事なんだなと思ってくれていると思いますが、ヒールを履くことで運動学的に足首の関節の動きが制限され、正しい歩行ができなくなります。これが腰痛の原因と考えています。
また足首の制限だけではなく、踵が高くなることで前傾姿勢となり前後のバランスを保つために腰を反る姿勢となります。いわゆる反り腰ですね。
反り腰になると腰椎の椎間関節という腰の動きに重要な関節を痛めやすくなります。
お仕事などの時はしょうがないですが、日頃より正しく足の関節が動くようにスニーカーを履く時間も作ってあげることが大切になります。
ハイヒールをキレイにかっこよく履いている人ほど体のセルフケアをしっかりと行っていますしウォーキングや骨盤のトレーニングもよくしています。
もし、腰痛がありヒールを毎日のように履いている方は、思い返してみて改善できるところ、は改善してみましょう。
2-8 腰が痛い時はマッサージでしのいでいる
私自身も学生の頃に腰痛で悩まされ、マッサージをよくしていました。結局なかなか改善せず、自分で勉強し改善できたことが自分の力を使って治していくこと。
そこから、10年近くなりますが腰痛患者さんで早く改善していく人ほど自分でどんどん動いたり、歩いたりしています。
もし、このブログを読んでいる腰痛もちの方がちゃんと治たいと思うならば、上記にあげたことを少しずつ改善していけば必ずよい結果がでるはずです。
今までやったことがないことをしていけば必ず、結果は変わります。
私も腰痛でしたが、今では子供たちと楽しく遊んでいます。
是非参考にしていただければ、幸いです。
まとめ
慢性腰痛を克服するためには、痛みに対してなにかをするのではなく、なぜ今の状態となってしまったのか?ということをよく考え、今の状態となってしまった原因に対してしっかりと治療をする必要があります。
今できることは今の生活の中に腰を悪くしてしまっていることをしていないかどうか?
ちょっと考えてみてください。
きっと、腰に負担をかけるようなことをしてきていると思います。
それらを探し改善することが本当の根本治療だと私は考えています。
もし、あなたがちゃんと腰痛を改善したいと思って治療院を探しているならば、原因をしっかりと探して、これをしていけば大丈夫と専門的に分かりやすく指導してくれるところを探すことが大事だと思います。
このブログが少しでもお力になれれば幸いでございます。
最後までお読みくださりありがとうございます。