1坐骨神経痛とは
坐骨神経痛はいわゆる疾患名ではなく症状名です。
腰から足先まである坐骨神経に圧迫や絞扼、牽引力などの障害をうけることで、坐骨神経領域に痛みが出ている症状を坐骨神経痛といいます。
整形外科的に原因が分かっているものとして、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎分離すべり症、梨状筋症候群などがあり、原因が分からないものは坐骨神経痛として言われることもあります。
1-1坐骨神経痛はいろいろな症状があります。
・お尻から足先にかけて痛みがある。
・腰の痛みや鈍痛と一緒に足まで痛みがある。
・お尻に痛みがある
・足のスネに痛みがある
・寝ている時に痛い
・歩くと痛い
・立っていると痛い
・座っていると痛い
これらの症状がミックスして出ることが多いです。上の症状が一つでもあれば坐骨神経痛の可能性があります。
1-2坐骨神経痛はこうやって治っていく
坐骨神経痛の経過は人それぞれですが、早い人は治療を開始して数日でよくなる人もいれば半年以上かかる人もいます。
改善される順番として体の機能が先によくなり、その後に構造的な形の変化が起こると考えます。先に歩きやすさや動きやすさが出てくるようになり、姿勢や体型が変化していくということです。
症状の程度も多くが機能的な問題が先におこり症状が重度になるほど構造的な問題があるといえます。
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、すべり症などによる坐骨神経痛は構造的な問題が強くあるため、時間がかかる方が多いです。
1-3坐骨神経痛が早く治る人と、そうではない人の違い
坐骨神経痛は症状の強さや、痛みを感じるタイミング、期間は人それぞれです。
治っていく経過も自分でストレッチをしていたら自然とよくなっていく人もいれば、整形外科や治療院を数か所通っても良くならず、1、2年痛みを抱えている人もいます。
ではなぜ、痛みがすぐよくなる人とそうでない人がいるのか?
病院で同じように坐骨神経痛と言われても個々によって辛さは、なぜ全然違うのか?
それは、「どのように今の状態が作られてきたのか」ということです。
どのように今の状態を作ってきたのかという歴史が重要であり、この歴史のなかから坐骨神経痛を引き起こしてしまう体にとってマイナスの生活習慣があるのかどうか、過去のケガがどれほど影響しているのかなど、どれだけ体にとってマイナスの事を与えていた期間があったのか、体に悪い影響を与えてしまっていることはどれほどあるのか、またそれはどんなことなのか・・・などを見つけて対処していく必要があります。
この体にとってマイナスの事を疾病形成因子といいます。
この疾病形成因子がどれだけあるのか、どのくらいの期間体にダメージを与えていたのかということによって経過は変わります。これが少ない人ほど、疾病形成因子を除外するスピードも違うので回復は早いといえます。
また、歩行や運動など活動量が多い人方も回復は早いです。
2疾病形成因子とは
痛みを出してしまう病態を作ってしまう日常のクセや、様式のことをいいます。
この疾病形成因子をなくしていくもしくは軽くしていくことで身体へマイナスの負荷が減るので改善しやすい身体へ変わっていきます。
2-1よくある疾病形成因子
2-1-1 就寝時
寝ている時に注意してもらいたいことは寝返りをうてる環境をいかにしてつくるかということ。寝る姿勢を気にされる方が多いですが、寝る姿勢は痛みがあるうちは一番寝やすい姿勢で寝てもらって大丈夫です。
重要なことは寝返りができるかどうかです。お子様がいる方は分かると思いますが、小さいお子様ほど寝返りを頻繁にしていると思います。
この寝返りが人間にとって生理的な行動であり原始的な行動です。寝返りという生理的な行動を妨げていることをしていると体にとってはよくありません。
例えば
体が沈み込むほどのマットを使っている。
掛け布団が重い。
枕が高すぎる。
これらは体に必要な寝返りを妨げてしまっていることがあるので注意してみてください。
2-1-2 移動・交通手段
人は本来歩くことで生体における内外の環境を良い状態に保っています。歩くことで、血液やリンパを循環させたり、内臓機能を維持したり、排熱処理をおこなったり。
それが現代社会においては車や自転車、電車を使うことが日常になっています。
生活環境は時代に合わせて変わることはしかたありません。しかし、体は昔、もっと昔から変わることはありません。歩行も体にとって必要なことは変わることはないのです。
つまり、意識して歩くという事を生活の中に取り込む必要があります。
また、自転車はサドルの上に直接骨盤が乗っているため段差やガタガタ道で骨盤へダメージを与えて回復を阻害してしまうことに繋がります。
日頃から乗り物によく乗る方は痛みがある時ほど歩行を意識してみてください。
2-1-3 座る時の姿勢
ご自宅で座ってるときはソファーに座っているという方が多いと思います。
腰が深く沈みこんだり、もたれかかるようにソファーに座っていると背骨に負担がかかってしまうので、座布団をしいたり、腰にクッションを挟んだりして姿勢を保つようにしてみるといいです。
2-1-4 デスクワーク時の姿勢
デスクワークの方は1日に何時間も前かがみで椅子に座っていると思います。
前かがみで椅子に座っている姿勢は運動学的にも腰椎に3倍の負荷がかかります。
そのため少しでも負担を減らしていくことを考えなければいけません。
目線をパソコンの高さに合わせるように椅子を調整したり、ノートパソコンであれば、パソコンの下に数センチの本など入れて目線が下を向きすぎないようにしてあげるだけでもかなり負担は減らすことができます。
2-1-5靴の選び方
踵のクッション性が高く、やわらかい靴を選ぶのが理想です。
また、お勧めはアシックスの店舗などでは細かくサイズを計って足に合った靴を提案してくれるのでお勧めです。また、ビジネスタイプのウォーキングシューズも取り扱っているので見てみるとよいと思います。
2-1-6カバンについて
歩行時はできる限り腕を触れるようにしていくと上半身と下半身の連動がスムーズに行われるので両手が自由になるようリュックタイプのものがおススメです。
2-1-7ジムで筋トレ
痛みがあるうちは、体の土台である骨盤を強くする必要があります。土台が弱い状態で筋肉をつけようとすると、家と同じように崩れてしまいます。
まずは歩行から初めて、自重を使ったトレーニングから始めることが必要です。
2-1-8ヨガ
骨盤を意識してヨガを行うと思います。またインストラクターの先生も「骨盤に~」と意識させてポーズをとることを指導されたりしていると思います。
骨盤の位置や姿勢を維持することはヨガは得意なのかなと思います。
しかし、骨盤や関節内の動きまでヨガで改善することは難しいので、歩行を取り入れたり当院で行っている骨盤トレーニングを取り入れると足りない部分を補えます。
3なかなか良くならない坐骨神経痛の対処法
滑らかに動く骨盤を作り人間本来の歩く力を取り戻すことを考えます。
3-1 歩く→アイシング
30分以上のウォーキングを行い骨盤にアイシングを15分行います。
痛くて歩けない場合は歩ける範囲でいいので5分でもいいので歩くようにトレーニングしていきましょう。歩かなければ歩かなくてよい身体になってしまうのでできる範囲で無理なく継続することが大切です。
アイシングはジップロックや氷嚢に氷と水を入れて15分行います。
関節の余分な熱を取り除き、関節の動きがよくなるために行います。
3-2腰フリ
歩行時における骨盤の動きの再教育を目的に行います。
3-3内また、外またスクワット
股関節の動きの改善を目的に行います。
4 最後に
坐骨神経痛が長引いてしまうと、このままずっと付き合っていくしかないのか…とか、これからが不安になったり、心配になっていることとお察しいたします。
痛みがある以上は必ず原因があります。
この原因は体の中だけではなく、今まで頑張ってきたことややってきたことなど今までの歴史の中にあることが多いです。
これをちゃんと改善していけば、なかなかよくならない坐骨神経痛でも改善していく例はたくさんあります。
ここで紹介した、対処法は今までにやったことがないものややろうと思ってもできていないものかもしれません。
しかし、今までやったことがないものこそ、やれば必ず違う結果がでるはずです。
もし、この体操やウォーキングを続けて変化がない場合は骨盤の動きがうまくでないほど固い状態や過去のケガによる負担が大きいことが考えるので関節の潤滑を促す治療や過去のケガからダメージを受けている部位を治療する必要があります。
その際は一度、ご相談していただけるとより具体的なアドバイスができるかもしれません。
1人で悩まず一度ご相談していただければとても幸いでございます。